『流行に踊る日本の教育』第2章@独り読書会
第2章 個別化・個性化された学び
私見。
個別化・個性化は強い個人を想定しているという主張には理解。個別最適化の探究は福祉に対する怠惰に陥りやすいため、それを看過しないバランス感覚を養いなさいというメッセージとして受け取った。ただ、古きあの時代の授業は良かった論は何が良くて、今の時代に適用できる妥当性がどこにあるのかを詳らかにする必要がある。そこもバランスとして求めていくことが課題。例えば、教員文化の復活を願う論調は多忙化とぶつかるが、それに対してどのようなバランス感覚で考えているのか?など。
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『学びの自立化・個別最適化』とは、子ども達一人ひとりの個性や特徴、そして興味関心 や学習の到達度も異なることを前提にして、各自にとって最適で自律的な学習機会を提供 していくことである。そのためには、AI (人口知能)やデータの力を借りて、子ども達一 人ひとりに適した多様な学習方法を見出し、従来の一律・一斉・一方向型の授業から、 EdTech を用いた自学自習と学び合いへと学び方の重心を移すべきである」(経産省2019年3月)
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イエナプランは、授業のみならず、学級編制、時間割、教室空間の構成まで含めた包括的な学校改革の構想です。まずイエナプランの大きな特徴は、年齢の違う子ども(お よそ3学年)をひとまとめにして、学級を編制する異年齢学級制度に見て取れます。子 どもは、同じ担任教師の同じ教室に3年間とどまることになり、最上級学年は次のグ ループへと進学した後、新たに最下級学年の子どもがグループに入ってきます。
三つの学年が混在する異年齢学級では、子どもたち同士のなかで、自然に教える/教 えられる、助ける/助けられるといった関係が生じるとともに、子ども同士による競争 を軽減し、「できる子/できない子」というレッテル貼りを避けることが期待されます。 しかしながら、日本の学級教育に慣れ親しんだ私たちにとっては、異年齢学級のなか で、どのように授業が展開されるのかはイメージしづらいと思われます。 次の引用はイエナプラン・スクールにおける学習の様子をイメージすることを助けてくれるでしょう。
イエナプラン教育でも、子ども達の課題はそれぞれの進度によって決まり、自分がその週に達成すべき課題に対して、自分で必要な時間や順序を考えながら計画し、 責任をもって達成していきます。教材は、可能な限り自分で読んて理解し、練習問題も自分で答え合わせがてきるものを使います。
…多様な教材があること、またそれを自由に選送べることはは、てすから、個別の発達に対する刺激と支援にとって欠くことができないものなのです。(リヒテルズ、2016年)
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そこで、定期的にリバイバルしてくる個別 今日の動向を検討していきますまず検討すべきは、「現在の日本の教育が画一的であり、その打破が急務である」と いう議論の出発点そのものの妥当性です。個別化個性化を推奨する立場からは、「日本の教育は画一 ・一斉授業である」とい うテーゼが共通認識かのように提示されますが、その際、「画一的である」と判断する根拠は、もはや説明するまでもないといった形でほとんど挙げられません。
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重要なことは、教育の社会的公正、学力形成、インク ルーシブ教育の実現などの今日的課題に対して、ほとんど唯一の回答かのように個別 化・個性化が扱われ、万能の処方として「マジックワード」化しつつあることに、懐疑的なまなざしをもつことです。
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