学生を追い出す大学

 大学で学生が使える空間が今、大学の権限によって縮小されてきている。その理由は、高等教育そのものの予算が削減されていることから、どこが「無駄か」を大学側は考えなければならなくなっているためだ。

 

 「禁止」の文字が以前より見られるようになった。以前は無かった「学生の印刷室使用禁止」、「部屋の利用禁止」が部屋に掲げられるようになっている。

 

今日もその場面に出くわした。普段研究で使っている部屋に「授業で使用させていただきます」と張り紙がされていることに気付いた。

その部屋の中では「当たり前」のように授業が行われていた。

 

 この部屋を建物賃貸借に置き換えて考えてみると、

急に家地主が「立ち退け」と言ってきた。しかし、契約は継続が原則だ。正当事由が無い限りは立ち退きを強制することは出来ない。そこで、家主は「授業で使用するため」という「正当事由」を掲げてきた。

 

果たしてこれは正当なのか?他に利用できる教室はいくらでもある。もちろん私自身ももちろん他に利用できる空間はある。しかし、習慣的に今まで使ってきたにも関わらず、急な立ち退きは可能だろうか?

 

仮にこの要求が正当であったとしても、その様相は大学が「学生は授業料だけ払え。私達の施設を出来る限り利用するな。他でやれ」と学生に言っているようである。

大学にとって学生は授業を受けている時以外は邪魔なのだろうか。そのような大学は大学と名乗っていいのだろうか。地域や企業と連携する前に、学生の存在を蔑にしてはいないだろうか?